(注))竹村広蔭
   竹村尚規家の分家二代目。竹村鴻允広蔭は、若くして歌道に精進し、遠州国学(八木美穂・石川依平・久保長秋ら)との交遊が広がった。著書には「変化抄」2冊がある。これは長年見聞したことを177項目にわたり筆録したもので、浜松地方の民俗・土俗を知るよい資料である。
  このほか随筆「農家心の鞭」や歌集「門田の八束穂」(かどたのやつかほ)がある。広蔭の歌風には、八木美穂の流れを汲む万葉調もあるが、多く古今集の技巧を取り入れ、遠江地方の社寺・風物・物産を詠み、佐鳴湖八景・遠州七不思議など、郷土色豊かな作品が多く見られる。慶応4年(1866)2月22日没。74才。