(注)侠客(きょうかく)
  中国において、義侠心をもって人の窮境を救う武力集団を呼んだ呼称。司馬遷は「史記」の「義侠列伝」に侠客の伝を記載している。
  日本では、市井無頼の徒「やくざ者」に対する美称として用いられ、中国のそれとは一致しない。日本において侠客の始まりは、江戸初期以降で、異装をなして市井を横行、かぶき者(傾く、すなわち放埓な行いをなす者)あるいは六法者、町奴と呼ばれた。彼らは侠気(おとこぎ)を立てる意で「男伊達」と自称したが、実態は市民層への寄生虫的存在に過ぎず、幕府による取締りの対象とされた。多くは賭博・喧嘩渡世などを仕事とし、親分子分の関係を保っていた。江戸時代末期になると、幕府の勢力の衰えとともに農村部にも多くの博徒が生まれ、彼らも侠客と称した。 「ブリタニカ国際大百科事典」