(注)道祖神(塞(さえ)の神)
 村や部落の境にあって、他から浸入するものを防ぐ神。邪悪なものを防ぐ「とりで」の役割を果たすところからこの名がある。境の神の一つで、「道祖神」「道(どう)陸(ろく)神(じん)」「たむけの神」「くなどの神」などともいう。村落を中心に考えたとき、村境は異郷や他界との通路であり、遠くから来臨する神や霊もここを通り、また外敵や流行病もそこから入ってくる。それらを祀り、また防ぐために設けられた神であるが、種々の信仰が習合し、その性格は必ずしも明らかではない。一般には「神来臨の場所」として、伝説と結びついた樹木や岩石があり、七夕の短冊や虫送りの人形を送り出すところとなり、また流行病の時には道切りの注連縄(しめなわ)を張ったりする。小正月に左義長などの火祭りをここで行う場合もある。神祠・神体としては「塞の神」「道祖神」などの字を刻んだ石を祀ったものもあり、人の姿を刻んだ石や、男根形の石を建てるものも少なくない。行路や旅の神と考える地方では「草鞋(わらじ)」を供え、また子供の神として穴あき石を供えたりするところもある。
 ☆小正月
  1月15日を中心とする一連の正月行事。元日を大正月というのに対する。
地方によっては「コドシ」「ワカトシ」「モチイ」などともいう。1月1日のいわゆる大正月にくらべ、はるかに行事内容が豊富で、特にその年の豊凶を占う行事が多い。
☆左(さ)義(ぎ)長(ちょう)
  平安時代以来、小正月に行われる火祭り。「どんど焼き」ともいう。平安時代の小正月の宮中の火祭りは陰陽師が奉仕した。近世は民間でも書月14日の夜か15日の朝、子供たちが松飾りなどをたたき、餅や団子を焼いて食べ、災難除けのまじないとした。